A SPAC – on – SPAC

BloombergがSPACとSPACのM&Aディールに関して記事にしていました。表題は『SPAC専門家も「見たことない」取引、ソフトバンクG出資会社が目指す』というものですが、英語の原文(抜粋)では、ソフトバンクGが記事に出てくることは全くなく…(笑)Roivantという創薬ベンチャーにソフトバンクGが出資をしているという関係だけという…。私もソフトバンクGが関係しているのか?と思って記事に飛びついてしまいました。

さて、 Bloombergの記事を簡単に説明します。

既に上場しているMontesというSPACに対し、Roviantという創薬ベンチャーが買収提案をした、要は、「MontesさんRoviantを買いませんか?」と言う提案をしたというのが主な内容です。このような話は多々あるので特に問題視する必要はないのですが、興味深いのはその後に起こることです。

RoviantはMontesに対し、約73億ドルでの買収を提案していますが、さらに、2年以内に、既に上場SPACに買収されているImmunovantという会社を買収するという提案もついていました。しかも Immunovantは2019年にRoviantが上場SPACに約4億ドルでSpin Offした会社である上、現在の株価に対し70%のプレミアムをつける、というものです。ちなみにプレミアム額は約11億ドルになります。

このプレミアムの根拠についてですが、まだ開示はなされていないけどImmunovantには自己免疫疾患の研究に優位性があることを根拠にしています。が、この研究のヒトに対する治験は副作用が懸念されるため、既に中止されています。そのため、70%のプレミアムと言うのは正しいのかどうか、という事がわからない状況です。もしかしたらImmunovantは他にも強みがあるかもしれませんし。ただ、このような動きを嫌がったMontesの株主が既に株式を売却しているという事実もあるようです。

個人的には、ベンチャー企業がSPACを買収することを約束し、その価値込みでSPACへ買収提案すると言うのは特に問題ないのではないかと思います。ただその価額の根拠を明確に示さないと問題になると思います。

記事でわかることはここまでですが、今後取材が進むにつれ、もう少し背景が見えてくるのかもしれません。