銀証分離の緩和

金融庁の金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」において、「銀証ファイアーウォール規制の見直し(案)」が示されました。今までは同一のグループであっても、銀行と証券会社との間で顧客情報を共有することは禁止されており、顧客の了承があった場合にのみ、情報を共有してよいというものでした。それが、顧客の同意なく顧客情報を同一グループの銀行と証券会社とで共有してよいという事になるそうです(※顧客側から情報共有を止めて欲しいという要求がある場合はダメです)。

そもそもの話ですが、現在の日本では銀行業と証券業が分離されています。なぜなら、銀行の優越的地位の濫用を防止するためであり、米国のグラス・スティーガル法を参考に当時の証券取引法で規制されました。しかしこのグラス・スティーガル法は1930年代に制定された法律であり、現在米国ではこの法律が緩和されている状況です。

そして日本でもようやく銀証分離が緩和される方向となり、同一グループの銀行と証券とで顧客情報の共有は原則OKとなるようです。

現在の金融商品ですが以前と比べかなり複雑化しており、銀行の金融商品と証券会社の金融商品との差も縮まっている状況です。個人が余剰資金を運用しようとした場合、以前は定期預金がメインだったと思いますが、この低金利時代、他の運用方法も検討すると思います。企業の株式や社債での運用だったり、投資信託であったり、株式投資型クラウドファンディングだったりファンドラップだったり…以前と比べ物にならないほど運用方法が分散されており、個人が取りうるリスクに応じた運用方法が選択できるようになっております。他方、この金融商品は銀行だけしか扱えない、こちらは証券会社しか扱えない、というものも存在します。その為、銀行と証券との間で情報共有がなされない場合、適切な金融商品の情報が個人に伝わらないという状況が考えられます。もったいないですよね。なのでそのようなミスマッチを少なくする、という点において、今回金融庁から示された「 銀証ファイアーウォール規制の見直し(案) 」は素晴らしいと思います。ただ、銀行の優越的地位の濫用をどのようにチェックし防止していくか、という事も強化する必要があると思いますが。