仙台のベンチャー企業、TESS

いよいよ情報解禁です。

前職(大和企業投資)時代からお付き合いがあり、今も重要なポイントでは経営アドバイスをしている、仙台のTESS(テス)。2022年8月25日に放送されるカンブリア宮殿に社長の鈴木 堅之さんが出ます。

TESSでは東北大学で研究された技術を基に、『COGY(コギー)』という不思議な車いすを作っています。カンブリア宮殿の番組紹介動画(30秒ほど)になりますが、一回見てみてください。

ちなみに過去、違うCOGYの動画ですが大和証券グループの副社長(その時は大和企業投資の会長)見せたところ、腰を抜かして驚いていました(実はその動画の方がインパクトあります(笑))。『おい、小井口、まじか。嘘だろ?』と。

かなり長期間、カンブリア宮殿のスタッフが鈴木社長とやり取りし、漸くここまで来ました。

紹介動画には『魔法の』とありますが、きちんと学術的な裏付けがあるので『魔法』ではないです(笑)

日本サッカー協会公認キッズリーダーの資格取得について

当社代表(小井口尚希)は、公益財団法人日本サッカー協会(JFA)の公認キッズリーダーの資格を取得しました。U-6、U-8、U-10の全世代に対して指導することができる資格になります。

今後、子供たち向けの事業も少しずつ進めていきたいと思います。

『MBA Meet Up #2』登壇

当社代表(小井口尚希)は、株式会社Milkyways(代表取締役CEO太田卓)主催のイベントにて、株式会社Birdman(東証GRT:7063) 取締役CFO兼CHROであり、CFOサポート株式会社 代表取締役であり、公認会計士/税理士の三橋秀一氏とともに「アカウンティング、ファイナンス系のキャリアアップについて」という内容で登壇しました。

当日のトピックスとしては、
①:採用する側から見て、MBAを持っている価値はあるか
②:採用したいMBAの方と見ているポイントについて
③:社長の見極め方(働く目線、投資目線)
④:30〜40代だけどベンチャー企業に転職できるか
⑤:どういったベンチャー企業がおすすめか
⑥:企業で出世する人はどのような方か
⑦:MBAを取得した後で起業という選択肢について
でした。

三橋さんからは実際上場企業で採用を担当されているご経験から、当社代表からは主にベンチャー企業の採用担当者という立場から、各々の質問に回答しました。

またこのようなイベントがあった際は登壇して色々お伝えしていきたいと思ってます。

『MBA Meet Up #2』登壇について(5/18)

2022年5月18日(水)、当社代表(小井口尚希)は、株式会社Milkyways(代表取締役CEO太田卓)主催のイベントにて、株式会社Birdman(東証GRT:7063) 取締役CFO兼CHROであり、CFOサポート株式会社 代表取締役であり、公認会計士/税理士の三橋秀一氏とともに「アカウンティング、ファイナンス系のキャリアアップについて」という内容で登壇いたします。

当該イベントは完全OFFLINEで行い、ONLINEでの配信は致しません。イベント後には参加者同士の交流を深めるため、食事付きの交流会を企画しております。

イベントの目的は、
・MBAの方同士のネットワーキング作り。
・MBA取得後どのようなキャリアに進んでいるのかを知る場。
です。また、
✔ キャリアアップを目指したいと思っている方
✔ CFOやVCに興味がある方
✔ ベンチャー企業で働いている方や今後働いてみたいと興味を持っている方
✔ MBAの方と交流を深めてネットワーキングをしたい方
にお勧めのイベントとなっております。

参加対象は、
✔ 現在MBAを取得中の方
✔ 既にMBAを取得された方
✔ ビジネススクールに入学予定の方
✔ ビジネススクールに興味がある方
✔ アカウンティング、ファイナンス系のキャリアアップに興味がある方
となっておりますが、当イベントにご興味をお持ちの方は、一回問い合わせていただけると幸いです。

イベントの詳細及びお問い合わせ先は下記になります。

MBA Meet Up #2

起業時の思いは大切

みなさんは『丼太郎(どんぶりたろう)』をご存じでしょうか?
筆者が最初に訪問したのは26年前(大学3年生)の茗荷谷店。当時は『牛丼太郎』という店舗名で、東京に複数店舗ありました(ちなみに筆者は茗荷谷店以外行ったことがありません)。

牛丼太郎の運営元は2013年に破産してしまいましたが、「地元で愛されている牛丼を残したい!」という強い思いを持った牛丼太郎の従業員3名が新しく会社を立ち上げ、牛丼太郎から必要な設備を買い取り、かつ、店舗契約も継続できるところは継続しました。そして店舗名も『牛丼太郎』から「牛」を取って(と言いますか、テープで消して)『丼太郎』に変更しました。現在も店舗として存在しているのは、茗荷谷店だけになります。

丼太郎が牛丼太郎から必要なものを買い取る過程において、様々な困難があったと聞いています。それでも何とかして地元の人に牛丼を届け続けたい、という思いから困難を乗り越え茗荷谷店は今も残っています。

すぐ近く(歩いて5秒~10秒程度)には、松屋となか卯がありますが、丼太郎もお昼時は入りきれないくらい人が並んでおり、松屋やすき家とも互角に戦っています。大手チェーン店に負けて撤退していくお店が多い中、丼太郎は今でも多くのお客さんに支持されています。これを起業時の思い、という観点からちょっと考えたいと思います。

牛丼太郎が倒産した際、従業員が立ち上がってその経営を引き継いだ、という話は、地元で知っている人は多いです。もちろん提供されている牛丼の味や値段、サービス提供のスピードも丼太郎支持に関係していると思いますが、それ以上に丼太郎の起業時の思いに共感した人が通い続けているのではないか、そしてそのような人が家族や友人を連れてきて、さらに支持が広がったのではないか、と思っています。

少し話はそれますが、私がベンチャーキャピタリスト時代、投資を決定するしないの最大の判断基準は、社長はなんでこの会社を起業しようと思ったのか、という点(起業の経緯)でした。どんなに優秀な技術でもサービスでも、そこに社長の必死な(切実な)思いがなく、ただ儲かりそうだから始めました、とか、ただ何となく流れで、とか、面白そうだから、いうニュアンスの回答があった場合、投資をお断りしていました(もちろん直接そのような言い方はしてきませんが、聞いているとわかってしまうものです)。これは今も同じです。私が仕事を引き受ける際には必ず社長の起業の経緯をお聞きしています。

起業の際、社長に必死な(切実な)思いがあれば、丼太郎のように共感してくれる人が増え続け、社内外に支持が広がっていきます。もちろんこのような思いがあれば間違いなく成功するとは言い切れないのですが、少なくともこのような思いが社長になければ、筆者の経験上ほぼ間違いなく、会社は行き詰ります。そして、この思いは「ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)」で表現されることが多いです。

また少し話はそれますが、最近丼太郎と同じ業界の吉野家が、話題になっています。そこで吉野家の起業の経緯を調べてみたのですが、魚河岸で重労働をしている人たちに、素早く、かつ、栄養価の高い美味しいものをお腹いっぱい食べて欲しい、というのが起業の経緯のようです。その後、関東大震災、東京大空襲、BSE問題で被害をうけてもなお事業を継続できています(1回法的整理はしましたが復活しています)。牛丼の味や値段、サービス提供のスピードも多くの人からの支持を得られている要因だと思いますが、それよりも吉野家の起業の思いに共感した人たちがベースとなって、今の吉野家を支えているのではないかと思ってます。でも今回の騒動は、そのような人たちを裏切るような話で、とても残念に思っています。M&Aを頻繁に行った結果、吉野家の創業時の思いを知る人が少なくなり、気づかない間に利益至上主義になってしまったような気がしています。

さて、最後にちょっとだけ話を丼太郎に戻します。現在は券売機で食券を買って、カウンター内にいる店員さんに渡すというシステムなのですが、牛丼が出てくるまでの時間が異常に早いです。私が行く時間帯(お昼ご飯)はカウンターに2人の店員さんがいるのですが、この2人、お互いの役割が完璧に決まっていて、「はい、牛丼セット(並)」と一人がぼそっと言うとそれ以上しゃべらず、ものの数秒で牛丼(並)、みそ汁、サラダ、が出てきます。食券を渡したタイミングで水が出てきて、椅子に座ったタイミングでサラダとみそ汁が出てきて、カバンを下したタイミングで牛丼が出てくるという、恐ろしいスピードです(笑)吉野家は入店から15秒で牛丼を提供することを目標にしている、と聞いたことがあるのですが、丼太郎も負けないくらい早いです。吉野家は最後お会計をすることを考えると、店に入ってから店を出るまでの時間は、もしかしたら丼太郎の方が早いかもしれません。茗荷谷にお越しの際は、ぜひ寄ってみてください。ちなみに筆者がいつも頼む「牛丼セット(並)」は、2022年1月から価格が上がったにも関わらず、440円です(笑)

FingerVision、1億円調達!

東北大学発ベンチャーの株式会社FingerVisionがシードラウンドで1億円の調達に成功しました。PR TIMESの記事はこちらになります↓
『大学発の先進「触覚センシング技術」の社会実装を実現するFingerVision シードラウンドにて1億円の資金調達を実施』

東北大学事業イノベーションセンターから相談があり、当社で資金調達のサポートをいたしました。当社としては、各種契約の内容及びその関係について実務的なアドバイスをし、最後は濃野社長の判断で交渉が成立しました。

同社は2021年10月に設立、その後わずか数ヶ月で1億円を調達するという、かなり難しいファイナンスを達成した数少ない会社になります。

同社のベース技術ですが、カメラの画像認識にあります。その技術の上に触覚技術がのります。これらの技術はロボットに搭載され、最終的にはロボットが自動的に対象物を判断し、適正な圧力(力加減)で対象物をつぶさずにしっかり掴む、という事ができるようになります。様々な業界での利用が想定されます。

当社では引き続き同社をサポートしていく予定です。

声掛け49人まで!

職業柄、未上場会社(ベンチャー企業)の資金調達のニュースをよく見ます。2年位前より増えたなぁ、という印象です。
一方で、それを支援しているVC等のTwitterとかがとても気になります。『さぁ、資金調達の準備ができたらどんどんVCをまわろう!50社100社程度でへこんでいてはダメ!』というような内容です。これ、金融商品取引法上、アウトの可能性が高いです(株式投資型のクラファンは除きます)。

基本的に50名以上に対して増資の勧誘を行うことは、『有価証券の募集』と呼ばれ、有価証券届出書を内閣総理大臣宛に提出してからでないとできません(適格機関投資家の扱いはここでは省きます)。この有価証券届出書は会社側が作るだけではなく、監査法人等の監査を受けなければなりません。また、注意しなければならないことは、(半年以内に)50名以上の投資家が株主になることではなく、『声掛けベース』でのカウントであることです。なのでベンチャー企業の経営者がSNS等で広く勧誘を行うと、一発でアウトになる(有価証券届出書の提出&その後の有価証券報告書の継続開示が必要になる)という事に注意が必要です。過去、このルールに抵触してしまい、急遽有価証券届出書を作成&提出、その後も継続的に有価証券報告書を作成&提出することになった会社を知っています…社内作業的にも資金的にもかなりかわいそうでしたが、ルールはルールなので仕方がないですね。しかも課徴金納付命令まで出され、その引当金で数億円になるという状況でした。もちろんIPOは遠のきますし、過去にさかのぼって是正できないとその法人格だとIPOはできない可能性も出てきます。

ベンチャーキャピタリストでもこのことを知らず、『多くの投資家をまわりましょう!』とアドバイスする人も多く見受けられます。申し訳ないですが、そのようなキャピタリストは信じない方がよいです。完全に知識不足です。弊社では必ず声掛けリストを作らせています。あと、経営者等にはピッチやセミナー、SNS等で勧誘行為にあたるようなことはしないように、と教育をしております。

まぁ、有価証券届出書を作成して監査を受けて、その後も継続的に有価証券報告書を作成し監査を受けていくということを覚悟してちゃんと実行するのであれば止めませんが、弊社としてはお勧めはしておりません。

注目のM&A

最近注目しているM&Aが、新生銀行vsSBIホールディングス、と、関西スーパー&H20vsオーケー。

新生銀行は敵対的買収に対抗し、SBIホールディングス以外の株主に1株につき0.8株を割り当てるという防衛策をとることを議案とした臨時株主総会の開催を予定していました。しかし、20%超を保有する国(日本国)の理解が得れらなかったことから、議案自体を取り下げるという事で、SBIホールディングスのTOB手続きが続けられることになりました。予定通りいけばSBIホールディングスは新生銀行株式の48%を保有することになります。

注目ポイントですが、証券グループが銀行を買収するという事です。SBIホールディングスはご存知のように証券業を中心とした金融コングロマリットです。今までは銀行が証券を買う事はありましたが(三井住友銀行グループによる日興証券の買収とか)、証券が銀行を買うというのは中々なかったことなのではないかと思います。しかも金融庁もそれを理解しているというところです。金融庁は今まで、証券会社が銀行の傘下に入ることを(水面下で)奨励していたのですが、今回はその逆です。なぜそうなったのか。今後の国の見解を聞いてみたいと思います。

他方、関西スーパー&H20vsオーケーですが、もともとオーケーが関西スーパーを買収しに来たところ、関西スーパーがそれを嫌がり、H2Oに助けを求めた、という前提があります。関西スーパーは株主総会を開催し、H2Oと経営統合を行うことを決議しました。…が、その株主総会決議は特別決議で行う必要がありました。つまり、2/3の賛成が必要であり、ギリギリ2/3の賛成を得た、と関西スーパーは発表しました。これに異を唱えたのが、オーケーです。一部の株主が「棄権」としていた票を投票締め切り後に「経営統合に賛成」という票として扱った、という事を理由に、地方裁判所に「関西スーパーとH2Oの経営統合を認めた株主総会の決議方法は法令違反または著しい不公正がある」という理由で統合差し止めを求める仮処分を申請しました。関西スーパーも「そのようなことはない」と反論しましたが、裁判所は関西スーパーの主張を退けました。

こういうケースはとても珍しいケースです。私が以前勤めていた上場会社の株主総会でクーデターが起き、当時の社長が退任させられ、とぼとぼ会場を後にしていく、というケースはありましたが、その時は事前に裁判所に相談し、総会検査役に来てもらっていました。総会検査役は、株主総会の招集手続および決議方法を調査するために裁判所に選任される人たちの事で、かなりしっかりチェックを行います。関西スーパーの場合、なんで事前に総会検査役を選任しておかなかったのだろう、と思いました。余裕だと思ったのか…とすれば、関西スーパーの経営陣って、と思ってしまいます。何を大事にするのか、を経営陣は見えていないのかな、と思わざるを得ない対応です。こちらも今後どのように進んでいくのか、とても興味があります。

6億3,400万円!

今日で9月が終わりですね。早いなぁ…。最近アドバイス先から『資金調達決まりました!』という報告が多く、ふと気になりみんなでどれくらい調達したのか計算してみました。

調達時の成功報酬をいただいていないので、今までカウントした事がなかったです。なので覚えている限りですが、ざっと足し合わせて9ヶ月くらいで6億3,400万円。そのほぼ全てが初めての調達。現在調達中のアドバイス先もあるので、もう少し増えそうです。

弊社からは何か特殊なアドバイスをしたわけではなく、基本通りの資料作りを指導し、アドバイス先にはただ淡々とやるべきことをやってもらいました。もちろん資料内で論理矛盾があるところを指摘したり、意味が解らないところ、もっと強調した方が印象が良くなりそうなところを指摘/修正はしました。

エンジェルから出資を受ける場合は違いますが、そこそこのVCや事業会社から出資を受け入れる時は、自社の強みを明確にする事、それを事業計画に落とす事、プレゼン資料を簡潔にわかりやすく作る事などなど、基本的なことをしっかりやれば調達できます。お困りであれば一回相談いただければと思います。

そういえばアドバイス先の本店所在地を調べてみたら、全て東京以外の会社でした…東京に支店/支社がある会社はありますが。コロナ禍が地方ベンチャーの資金調達を容易にしているのかもしれません。インターネットを介した面談が自由にできるようになったことが、その理由なのかなと思います。結論付けるのは早いと思いますが…。

つらいぜ、ベンチャー投資(株主編)

引き続き、株主編です。

◇株主編
 ベンチャーキャピタル(VC)は出資をし、会社の株主になります。定款で取締役会を設けている会社(取締役会設置会社)の場合、会社法上、株式会社の中で最も強い権利を有するのは株主です。取締役を選ぶ権利も株主にあります。ちなみに、株主に選ばれた取締役の中から代表者(社長)を選ぶのは、原則取締役会の権利になります。では、株主が複数いる場合、どのように株主としての意思決定をするのか、それは株主同士で構成される株主総会での多数決が基本です。なので、株主の顔ぶれ及び各株主が有している株式の議決権比率がとても重要になります。そして、株主同士の意見が割れる場合、とても要注意であると筆者は思っています。

①VC比率が高い
 未上場会社の場合は特に、株主の意見が経営に直に伝わるケースが多く、VC比率が高い会社はVCの意見が経営に反映されやすいです。なのでVC間で意見が割れた場合、その影響が経営を直撃します。
 筆者が引継ぎで担当した会社は、とある上場企業の社内ベンチャーを切り出した会社で、切り出したタイミングでVC4社が普通株式で計数億円投資しました。なので経営陣の保有株式比率は40%弱、それに対してVCのシェアは60%を超えていました。社内ベンチャーで数年実績があったので、会社設立時から売上は順調に伸びていき、業界でも上位4位に入る勢いでした。取締役会にはVCの担当者もオブザーバーで入り、業界1位の会社をマークし、経営指標を細かく比較し、「次月はどんな手を打つか」という前向きで活発な議論が毎月なされていました。
 ところがある時、会社のシステムに小さなトラブルが生じました。その修正のためVCの1社がシステム会社を紹介したのですが、社長はそこと違うシステム会社と契約しました。しかし社長が契約したシステム会社ではその小さなトラブルを修正できず、その結果システムが2ヶ月近く止まってしまい、その期間の売上が「ゼロ」になってしまいました。また、そのトラブルの修正を担当していた従業員が疲弊しどんどん会社を辞めていき、最後はCTOも疲弊して辞めてしまいました。このトラブルを発端として、VC4社が2対2で喧嘩を始めました。VCが紹介したシステム会社と契約せず自分で見つけてきたシステム会社と契約してトラブルを長引かせた社長に対して激怒しているVC2社と、社内ベンチャーを立ち上げここまで会社を引っ張ってきたのは社長なのだから、株主として社長と協力し、早く事業を軌道に乗せることに協力すべきだと主張するVC2社。しかもVCシェアはぴったり同じ比率でした。今まで協力的だったVC達でしたが、取締役会で社長の細かいミスを突くVC2社、それをフォローするVC2社に分かれてしまいました。結局その溝は埋まらないまま数ヶ月が過ぎ、社長は円形脱毛症になり筆者に助けを求めてきました。やはりこれではいけないと思い、社長よりの立場をとっていた筆者が呼びかけ、VC4社で集まって今後を協議することになりました。社長と対立しているVC2社のこの時点の意向はすでに投資を継続することは全く考えておらず、備忘価格でも良いからすぐに株式を売却したいというものでした。しかも社内調整済みです。会議でそのような話を聞いてしまうと、社長よりの立場をとっている筆者側のVC2社は、投資を継続したいものの、計30%近いシェアを占めるVC2社が株式を安価に売却するとなるとさすがに投資継続は難しいかな、とならざるを得ませんでした。結局VC4社が社内調整を行い、最も社長の信頼を得ていた筆者が、VC4社が株式を売却する旨を社長に伝えることになりました。社長の株式シェアが高ければもう少し違う結果になったかもしれません。

②リードVCのファンド満期
 ベンチャーキャピタルはファンドという資金運用基金を作り、そこで様々な会社(時には個人)から期間限定でお金を預かり、それをベンチャー企業へ投資し、ベンチャー企業が成長した後その投資を回収し、資金提供者へ返済するというビジネスモデルです。約束した期限が来たら、資金提供者へ必ず資金を返さなければなりません。なので、ベンチャー企業へ投資した資金も必ずいつかは引き上げられます。
 これも筆者が引き継いだ会社になります。その会社は順調に売上を伸ばしていましたが、投資後3年を経過したあたりから売上が伸び悩み始めました。その理由はいくつかあるのですが、ここでは割愛します。そのベンチャー企業には複数のVCが投資をしており、10%程度出資しているVCがリードになっていました。VC業界でいうリードとは、当該ベンチャー企業に出資しているVCを代表して会社側と様々な交渉をするVCの事で、一般には出資金額が最も大きく、かつ、出資比率もVCの中では最も高い、という特徴があります。リードVCは会社側との資本政策の交渉や、増資タイミングの決定、そしてEXITタイミングの決定をしたりします。もちろん他のVCはこの決定に従う必要はありませんが、株式会社は資本多数決の原理で動いているのでシェアの大きいリードVCの判断はかなり大きいです。ある時リードVCが他のVCに招集をかけました。なんだろうな、と思って会議に参加すると、リードVCから、「ファンド満期も近いので、株式を売却します」とのことでした。話を聞くと、ファンド満期に関しては数年前から意識していて、少し前までは良い条件(株価)で株式を売却できそうだったとのことです。ただ直近の業績は伸び悩んでおり、その改善も現在見えにくい状況との判断でした。なので「備忘価額に近い値段であれば引受けても良いという先があり、弊社(リードVC)はそこに株式を売却しますが、みなさんどうしますか?買い手側としてはある程度シェアが欲しいとのことだったので、ご希望があればご紹介します」とのことでした。集まったVCは皆びっくりです。ここで初めてリードVCのファンド満期が他のVCよりも先に来るという事がわかりました。当然他のVCからは、ファンド満期の延長(通常出資者の了承を得られれば1年~2年は延長可能)ができないか、株価をもっと交渉することはできないのか等々いろんな意見が出ました。しかしリードVCとしては、ファンドの延長は考えていない、時間をかけて株価を上げていくよりいくらでも良いから早期に株式を売却したい、とのことでした。リードVCが抜けると他のVC合計のシェアはとても低くなってしまい、その程度の低いシェアでは将来株式を売却するタイミングが見込めなさそうでした。みな自社に持ち帰り対応を協議しましたが、結局リードVCと同じく、安価に株式を売却することとなりました。ベンチャー投資でフォロワー(リード以外)となる場合、必ずリードVCのファンド満期について意識しておかなければならない、と実感した案件でした。

③M&A前提の投資
 ベンチャー投資でも経営陣の了承を事前に得て、IPOではなくM&AでのEXITになることもあります。その場合、VCの出資比率が高くてもEXIT株価にあまり影響はありません。株式市場での需給バランスを気にしなくても良いからです。ただし、M&Aというのは買い手候補者のデューディリジェンスに時間がかかるケースが多く、かつ、上場会社が買い手の場合インサイダー情報になる可能性もあり、リードVCのみが交渉するケースが多いです。このようなケースでフォロワーとして投資している場合、リードVCの担当者と仲良くしておくこと、及び、株主間契約(ないしは投資契約)を事前に確認しておくことが重要です。
 VCのシェアが70%超、フォロワーで投資、EXITはM&Aという案件を引き継いだのですが、前任者がリードVCの担当者とあまり仲が良くなく、月一回の取締役会で顔を合わせるだけでした。担当者同士雑談をすることもなく、会議が終わると、また来月よろしくお願いします、お疲れ様でした、という状況でした。なので筆者は引き継いだ後、投資先に挨拶をしに行くと同時に、リードVCの担当者の元も訪問しました。そして月一回の取締役会の場以外にもリードVCの担当者との接触回数を増やし様々な情報を共有、仲良くなることを心がけていました。そのようにしている中、リードVCの担当者から連絡があり、実はM&Aで交渉している先が複数社あり、最も有望な買い手候補は上場会社で、インサイダー情報になる可能性が高い、交渉している株価はだいたいこれくらい、との情報が得られました。話をもう少し聞くと、既にデューディリジェンスは終わっていて、株価の交渉になっており、ほぼほぼ合意していて、買い手候補側で最終の社内決済を行っている、とのことです。しかも、リードVCの保有株式だけの譲渡でも構わないし、他のVCも希望があれば株式を購入可能、という事でした。そこまで話が進んでいるとは全く思っていなかったので、かなりびっくりしました。実はベンチャー企業とリードVCそして他のVCとで株主間契約を締結しており、その中で共同売却権も定められていました。そこで定められていたことは簡単にいうと、リードVCが株式を売却する際は他のVCに伝え、他のVCも希望があれば一緒に売却できる、でも、最初に伝達されてから30日以内に返答がないとその権利を失うというものでした。実はこの30日というのは大きい組織のVCにとってはとてもハードルが高い内容です。今は変わったかもしれませんが、当時大きい組織のVCが投資先株式を売却するには、株式を売却することに関する投資委員会(ないしは稟議)を行わなければなりませんでした。その資料には、投資の経緯から始まり、当初の事業計画と実績の差異分析、当初想定したEXITと現在想定されるEXITの違い、今回のEXITがファンド満期内で最も良いEXIT(高く株式を売却できる)である、という記載が必要です。この資料を作るのにかなり時間を要します。しかも投資委員会開催予定日の1週間前には付議書を提出するとともに、投資委員会メンバーに事前の根回し(説明)も行っておかなければなりません。そういうことを考えると、資料作成は実質10日程度しかなく、その期間で資料を完成させなければリードVCと共同で株式を売れなくなってしまう、とうことになります。なので担当者によっては夜中まで資料作成する、土日も出社する(もちろんあとで代休は取りますが)という事になります。筆者の場合、リードVCからの正式な連絡の前に情報が仕入れられたので、資料作成、事前の社内根回し等は余裕をもってでき、無事リードVCと一緒に株式を売却出来ました。M&AでのEXIT前提のベンチャー投資でフォロワーで入るときには、リードVCの担当者と頻繁に情報交換をしておいた方が良い、かつ、事前に株主間契約等でEXITに関してどのような内容になっているか把握しておいた方が良いと実感した案件でした。