注目のM&A
最近注目しているM&Aが、新生銀行vsSBIホールディングス、と、関西スーパー&H20vsオーケー。
新生銀行は敵対的買収に対抗し、SBIホールディングス以外の株主に1株につき0.8株を割り当てるという防衛策をとることを議案とした臨時株主総会の開催を予定していました。しかし、20%超を保有する国(日本国)の理解が得れらなかったことから、議案自体を取り下げるという事で、SBIホールディングスのTOB手続きが続けられることになりました。予定通りいけばSBIホールディングスは新生銀行株式の48%を保有することになります。
注目ポイントですが、証券グループが銀行を買収するという事です。SBIホールディングスはご存知のように証券業を中心とした金融コングロマリットです。今までは銀行が証券を買う事はありましたが(三井住友銀行グループによる日興証券の買収とか)、証券が銀行を買うというのは中々なかったことなのではないかと思います。しかも金融庁もそれを理解しているというところです。金融庁は今まで、証券会社が銀行の傘下に入ることを(水面下で)奨励していたのですが、今回はその逆です。なぜそうなったのか。今後の国の見解を聞いてみたいと思います。
他方、関西スーパー&H20vsオーケーですが、もともとオーケーが関西スーパーを買収しに来たところ、関西スーパーがそれを嫌がり、H2Oに助けを求めた、という前提があります。関西スーパーは株主総会を開催し、H2Oと経営統合を行うことを決議しました。…が、その株主総会決議は特別決議で行う必要がありました。つまり、2/3の賛成が必要であり、ギリギリ2/3の賛成を得た、と関西スーパーは発表しました。これに異を唱えたのが、オーケーです。一部の株主が「棄権」としていた票を投票締め切り後に「経営統合に賛成」という票として扱った、という事を理由に、地方裁判所に「関西スーパーとH2Oの経営統合を認めた株主総会の決議方法は法令違反または著しい不公正がある」という理由で統合差し止めを求める仮処分を申請しました。関西スーパーも「そのようなことはない」と反論しましたが、裁判所は関西スーパーの主張を退けました。
こういうケースはとても珍しいケースです。私が以前勤めていた上場会社の株主総会でクーデターが起き、当時の社長が退任させられ、とぼとぼ会場を後にしていく、というケースはありましたが、その時は事前に裁判所に相談し、総会検査役に来てもらっていました。総会検査役は、株主総会の招集手続および決議方法を調査するために裁判所に選任される人たちの事で、かなりしっかりチェックを行います。関西スーパーの場合、なんで事前に総会検査役を選任しておかなかったのだろう、と思いました。余裕だと思ったのか…とすれば、関西スーパーの経営陣って、と思ってしまいます。何を大事にするのか、を経営陣は見えていないのかな、と思わざるを得ない対応です。こちらも今後どのように進んでいくのか、とても興味があります。