声掛け49人まで!
職業柄、未上場会社(ベンチャー企業)の資金調達のニュースをよく見ます。2年位前より増えたなぁ、という印象です。
一方で、それを支援しているVC等のTwitterとかがとても気になります。『さぁ、資金調達の準備ができたらどんどんVCをまわろう!50社100社程度でへこんでいてはダメ!』というような内容です。これ、金融商品取引法上、アウトの可能性が高いです(株式投資型のクラファンは除きます)。
基本的に50名以上に対して増資の勧誘を行うことは、『有価証券の募集』と呼ばれ、有価証券届出書を内閣総理大臣宛に提出してからでないとできません(適格機関投資家の扱いはここでは省きます)。この有価証券届出書は会社側が作るだけではなく、監査法人等の監査を受けなければなりません。また、注意しなければならないことは、(半年以内に)50名以上の投資家が株主になることではなく、『声掛けベース』でのカウントであることです。なのでベンチャー企業の経営者がSNS等で広く勧誘を行うと、一発でアウトになる(有価証券届出書の提出&その後の有価証券報告書の継続開示が必要になる)という事に注意が必要です。過去、このルールに抵触してしまい、急遽有価証券届出書を作成&提出、その後も継続的に有価証券報告書を作成&提出することになった会社を知っています…社内作業的にも資金的にもかなりかわいそうでしたが、ルールはルールなので仕方がないですね。しかも課徴金納付命令まで出され、その引当金で数億円になるという状況でした。もちろんIPOは遠のきますし、過去にさかのぼって是正できないとその法人格だとIPOはできない可能性も出てきます。
ベンチャーキャピタリストでもこのことを知らず、『多くの投資家をまわりましょう!』とアドバイスする人も多く見受けられます。申し訳ないですが、そのようなキャピタリストは信じない方がよいです。完全に知識不足です。弊社では必ず声掛けリストを作らせています。あと、経営者等にはピッチやセミナー、SNS等で勧誘行為にあたるようなことはしないように、と教育をしております。
まぁ、有価証券届出書を作成して監査を受けて、その後も継続的に有価証券報告書を作成し監査を受けていくということを覚悟してちゃんと実行するのであれば止めませんが、弊社としてはお勧めはしておりません。