起業について

手続きを踏んでいけば必ず法人は設立できます。しかしせっかく設立した法人も、起業検討時に想定していた事業ができなかったり、すぐに破綻したりするのでは、法人設立の意味がありません。そこで起業する際のポイントについて簡単に解説します。

起業する前に考えておかなければらない6つのこと

起業をする前に考えておかなければならない事について、簡潔にまとめます。

1 なぜ起業するかについて、じっくり考えてみる

「よし、起業しよう!」と思ったとき、なぜ起業するのか、という理由をじっくり考えることが必要です。
自分には稼ぐ技術がある、他ではあまりやっていないビジネスなのでやってみたい、世の中(自分でも構いません)のPain(ペイン、苦痛や困りごと)を解決したい、というケースが多いと思いますし、それでいいと思います。しかし大事なのは、本当に心からそう思っているかどうか、です。
人それぞれ環境は違います。会社勤務で一般平均以上の給料をもらっていてしかも定年まで安泰、という人もいると思いますし、現在学生の人もいると思います。起業すると最初は手続き等の雑務が続き、当初思ったような時間の使い方ができません。給料ももらえない時期が続くと思いますし、学生であれば学業に割く時間が少なくなり勉強が追い付かない・・・。また、売上がほとんどない状態で、経費がかさみ時間だけが過ぎていく…これが起業の現実だと思います。そのようなつらい思いをしてでも起業して事業をやっていく、というためには、とても強い気持ちが必要です。だから、「本当に心からそう思っているのか」という事をじっくり考えることが大事です。

(過去のBlogです⇒起業時の思いは大切

2 何を提供するか、コアとなることを見定める

起業に対する思いが、世の中のPainを解決したいというのであれば、「どうやって解決するのか」、「自分はその解決手段を持っているのか」、「協力してくれる人たちはいるのか」、などを考えていきます。また、自分には他にはない技術があり、それを提供(供給)することを目的として起業する、でも構いません。
いずれにしても、自分は世の中に何を提供するのか、そのコアとなることを見定めることが必要です。

3 競合他社を調査する

何を提供していくのかが決まったら、すでにそのような事業を行っている会社を調査します。同じ事業がなかった場合、似たような事業をやっている会社を探して調べます。
調べる内容は、①顧客層、②その単価、③どうやって売上が伸びていったか(もしくは伸びていないか)、④従業員数(できれば職種の人数がわかれば)、⑤ビジネスモデル(収益モデル)、⑥過去の実績、です。その上で、自社で提供する内容との違いを明確にしてください。それが差別化につながります。
競合他社を調べることで、実際にどのように売上が増えていくのかがイメージでき損益計画に信憑性が増すとともに、事業計画書を作成する際、競合他社との比較分析に役立ちます。

4 ターゲットを絞り、どのように訴求していくかを考える

BtoCで自社サービスや製品を提供する際、どのような人が利用するか想定します。つまりターゲットを絞ります。例えば東京都内に住んでいる30代の独身男性、という感じです。実際に存在する層をターゲットにするので、マーケット規模がある程度算定できます。BtoBの場合、どのような企業がサービスを享受・製品を購入してくれるのかを検討する必要があります。
そして、そのターゲットにどのように訴求していくのかを考えます。最初は知り合いからの口コミで広げていくとか、コネクションがあるので試作品を持っていくことができる、等のようなことです。実は損益計画を作る際、ここが一番ポイントになります。最初の1人・1社目をどのように確保するのか、とても重要なポイントです。他人が納得するような合理的な説明ができる事が必要です。また、最初の1人・1社目をどのように確保するのかについて、複数案を持っておく方が望ましいです。複数の案をもっていれば、実際に起業しサービスや製品を提供した際、当初考えていた通りにならなかったとしても、すぐに他の手段を試すことができ、時間を浪費することがなくなるからです。

5 損益計画と資金繰り計画をたててみる

いつ(どのタイミングで)最初の1人・1社に自社のサービスや製品がを訴求できるのかを考えた上で、損益計画を作っていきます。最初は粗いもので構いません。損益計画ではまず最初に、売上がどのように増えていくのかを考えます。いろいろなパターンがあると思います。利用ユーザーの増加によって売上が増加するのか、製品の販売によって売上が増加するのか。もしくは当初は共同研究という形で売上が計上でき、その後製品を供給することによって売上が増加していくのか、ということを考えます。
売上が想定できたら、次に費用を考えます。この時点で売上原価とか販売費及び一般管理費とかについて細かく考えることはありません。起業早々多額な設備投資が必要でない限り、仕入れの費用や、人件費、家賃、インターネットの広告費程度だと思います。顧問の弁護士を起業当初から抱える必要はないと思いますが、会計について補助が必要な場合は、顧問税理士費用を計上したり、会計ソフトの利用料を入れたりします。消耗品費については正確に計上できないので、毎月一定額を計上しておきます。その他、予備費も一定額を計上します。あと、設備投資を行う場合は、減価償却と言う会計処理が必要になります。その設備の購入金額を、償却期間内で費用化していくという会計処理です。会社設立時に特有な費用として、創立費や開業費があるのでその計上及び償却についても入れていきます。これらの費用を売上から控除することで、損益を計算します。

次に資金繰り表を作成します。資金繰り表を作成する際に気を付けることは、先ず、現金預金の入金タイミングと支出タイミングの違いです。売上に関する入金タイミングが一か月後なのか、二か月後なのか。費用の支払いは当月中なのか一か月後なのか。大概、費用に関する支払いの方が早く来るので、そこは気をつけた方が良いと思います。多額の設備投資をし、減価償却と言う会計処理を行っている場合、費用の計上タイミングと支出のタイミングが違ってくるので、そこも要注意です。
最後に気をつけることは、費用として計上はしないけど、支出がある項目です。例えば、事業を行うに際し必要な協会への入会金だったり、会費だったりです。会計上は出資金という名目になるケースが多いかもしれません。これらは費用化はされませんが、現金預金の支出があるので、損益計画には入れませんが、資金繰り表では加味する項目となります。
資金繰り表を作成することで、『いつ』『いくら』お金が必要か、というのが明確になります資金ショート=倒産、ですので、資金繰り表はかなり重要な資料となります。当初はいくら必要なのか、最大必要な金額はいくらなのかを起業前に把握します。

大事なポイントとして、損益計画は税抜処理で、資金繰り計画は税込処理で作成することです。

ここでは簡単に記載しましたが、損益計画⇒資金繰り表の作成はかなり会計に精通していないとできない作業だと思います。専門家の方のサポートがあった方が良いでしょう。また、損益計画と資金繰り計画ともに、月次で3年分作ってください。そして3年経過する前に、月次の資金繰りが黒字化するのが望ましい経営スピードになります。

6 資本金の額と、借入もしくは増資のタイミング及び額を検討する

損益計画と資金繰り計画を作成すると、月次の資金繰りが黒字化するまでにいくら必要なのか、算定することができます。その累計赤字分をどのように補うのかの検討に入ります。具体的には、累計赤字分を全て資本金で補うか、もしくは、累計赤字の一部を資本金で補い、足りない分は借入れ、ないしは増資で補うか、です。借入れと増資については、会社の業績がある程度見えてこないとなかなか難しいかもしれません。日本政策金融公庫のように創業支援融資を行っている金融機関もありますが、融資には審査があります。また、シードラウンドを中心に投資をしているVCもありますが、こちらもデューディリジェンスがあり、投資してもらえるかどうかは不明です。起業時、一番確実に調達できるのは、自ら出資する金額になります。設立時の資本金の額でどこまで事業が成長するのか、資金が切れるタイミングで借入れや増資が実行可能なのか、がポイントになります。そのような観点で資本金の額を決めた方が良いです。

定款内容を決める

6つのことについて決めた後は、いよいよ具体的に起業の手続きに入ります。
会社法では会社の形態を、株式会社、合同会社、合資会社、合名会社の4つと定めています。それぞれの特徴についてここでは割愛しますが、ベンチャー企業は通常、株式会社で設立するケースが多いです。それは、ざっくりと言うと、会社法は株式会社には大規模な資本を集約して経営できるような法整備を行っているからです。また、IPOを目指す場合、会社の形態は株式会社でないといけません。そのようなことからベンチャー企業は株式会社を選ぶことが多いです。
以下では株式会社を前提に記載します。

1 イチから定款を作るより、クラウド会計ソフトを提供している企業の会社の設立サービスを使うのが正直楽だし間違いがない

そのまんまです。私も利用しました。WEB上で株式会社の定款ひな形を入手することはできますが、それを書き換えて行政書士にチェックしてもらって、違う部分は修正して…と言うのは、結構労力がいります。クラウド会計ソフトを提供している企業の会社設立サービスは必要なところだけを入力すればOKですし、アレンジを加えたいという時でも最後に変更がききます。しかも無料な上、必要な手続きを教えてもらえますし、料金を払えば会社の印鑑も作れるうえ、行政書士の電子認証も受けられます。
気になるのは、その後クラウド会計ソフトを利用しなければならないのでは…という点ですが、必要であれば利用した方が良いと思いますし、不要であれば契約しなくても構いません。当社では会計ソフトを使わず自社で帳簿をつけ、決算作業まで行っています。

以下では迷うポイントを簡単に書いておきます

2 商号

会社の名前です。ここはかなり悩みます。社名を見たときに、何をしている会社なのかわかる方が良いですし、その由来も結構聞かれるので考えておいた方が良いです。また、かっこいい名前にしたけど、読み辛いというケースもあります。あと、名前の前後に必ず『株式会社』とつけてください。法律でそう定められています。その他注意点としては、不正競争防止法に気をつけてください。知名度がある有名企業等の商号及び類似商号を利用することで不正な競争を行おうとする場合、損害賠償請求される可能性があります。類似商号は法務局の『オンライン登記情報検索サービスを利用した商号調査について』で調べることができます。
英語表記もしたい場合は、ここで記載します。

3 目的

その会社は何をやる会社なのか、という事を記載します。起業前に考えておかなければならない事の1つに、競合他社がありました。その競合他社の定款目的を参考にするのも一つの手段だと思います。競合他社の定款目的については、商業登記簿をとればわかります。法務局に行かなくても、WEBで入手することが可能です。
ここでのポイントですが、定款目的に入れていないと実際に事業が行えないケースがあるので注意です。例えば不動産業とかです。定款目的に不動産業を入れておかないと、宅地建物取引業者登録ができず、会社として不動産の仲介等ができなくなります。あとは、助成金や補助金を受けることを想定しているケースです。助成金や補助金の申請を行う際、『定款に〇〇目的が入っていること』という条件が付帯されていることもあります。助成金や補助金を受けることを想定されている方は、事前に助成金や補助金の条件をチェックする必要があります。
余談になりますが、売上はどうやって決まっているか知っていますか?実は定款に目的に記載された事業の入金が売上になります。そうでない場合は営業外収益になります。例えば、友人の会社にお金を貸して利息を得た場合、普通の会社だとそれは売上にならず、営業外収益になります。しかし貸金業者であれば定款の目的に貸金業に関する項目が入っているはずなので、受け取った利息は売上になります。あと、税務上経費を損金計上できるかできないかの判断に使われることもあります。定款目的の個数に制限はないのでいくらでも書いてよいのですが、何をしている会社かわからなくなってしまいます。そのため、最初は10個前後の目的にして、最後に『前各号に付帯関連する一切の事業』と入れるケースが多いです。

4 本店所在地

本社の住所です。〇〇県〇〇市〇丁目〇番〇号、と定款に記載することも可能です。ただ、例えば同じ市内で少しだけ本店が移動した場合でも、株主総会の特別決議が必要になってしまいますので、通常は市区町村までの記載にしていますし、それも認められています。
ちなみに、定款では市区町村までで構いませんが、商業登記簿は『本店所在場所』が記載されるので、〇〇県〇〇市〇丁目〇番〇号(さらにマンション名とかも)まで記載します。自宅を本社にした場合、定款をみても自分の家の住所はバレませんが、商業登記簿を見るとバレてしまうという事になります。ま、代表者の自宅住所も商業登記簿に記載されるので、いずれにしても自宅住所はバレてしまいますが…。

5 発行可能株式総数

設立にあたり何株発行するかではありません。会社として最大何株発行するかを決める項目です。将来VCからの資金調達を考えられている方は、ある程度大きい株数にしておいた方が良いと思います。

6 株券の不発行

株券は不発行で構いません。あえて株券を発行することもできますが、おすすめはしていません。

7 株式の譲渡制限

株主総会もしくは取締役会、取締役の承認がなく、株主が自ら保有する株式を他人(他社)に譲渡することを制限するという条項です。未上場会社(会社法上、株式非公開会社と言います)の場合は通常譲渡制限をかけています。この趣旨は、勝手に譲渡されると会社に好ましくない人(や法人)が株主になってしまう事を防ぐことにあります。つまり、譲渡制限をかけていると、会社等の承認なく当該株式を取得した人は会社に株主としての権利行使ができないという事になります。未上場会社の経営にとってとても大事な条項なので、株式の譲渡については制限をつけておきましょう。

8 取締役会

設立時に取締役が3名以上いる場合は取締役会を設置することができますが任意です。しかし、一定の条件(公開会社だったり、監査役会設置会社だったり)の場合は、取締役会の設置が強制されますが、会社設立当初は不要だと思います。また、複数人取締役がいる場合は、代表取締役を設置します。ただし、代表取締役を決めるのは株主総会なので、定款ではその人数を決めます(通常は1人です)。

9 監査役(会)

監査役を設置する事もできます。3名以上いるのであれば、監査役会を設置する事もできます。しかし、会社設立当初はあえて設置しなくていいと思います。

10 その他

他にも必要があれば色々決めることができますが、株主や取締役が多くない状況で細かく決めると、経営が不安定になりがちです。
また、ここでは種類株式は設立時に発行しない前提でお伝えしています。しかしベンチャー企業の設立時もしくは設立後直ぐにVCが入る場合は、最初から種類株式について定款(原始定款)に定めることもあります。

いよいよ登記手続き

定款が完成したらいよいよ登記手続きに入ります。いろんなWEBサイトでも紹介されているので、悩むポイントだけを記載しておきます。

1 会社の印鑑(実印、銀行印等)の作成

定款が決まり、社名も確定したら、会社の印鑑を作ります。印鑑には、実印や銀行印、角印、認印…作り出せばきりがないですが、必要なのは実印と銀行印だけです。あったらいいな、とうレベルで角印程度です。角印は請求書等で利用しますが、昨今の押印廃止の流れもあり不要です。当社でも押印は廃止しています。

2 公証役場で定款の認証を受ける

定款には会社法で定められている絶対的記載事項というものがあり、それがちゃんと定められているかを公証人がチェックします。株式会社では設立時の定款について公証人の認証を受けなければならないため、出来上がった定款をもって公証役場へ行き、認証を受けます。
細かい手続きは他のサイトでも紹介されていますし、公証役場のサイトでも記載されていますのでここでは割愛します。ポイントとしては、
 1、電子認証の方が印紙税がかからず、安い
 2、事前に連絡して訪問日を予約しておくこと。これはWEB会議システムを利用する時を除き、電子認証の場合でも必要になることに注意
 3、本店所在地を管轄する法務局が管轄する公証役場に行くこと
 4、要求されている持ち物以外、何かあった時のために、会社と代表者の実印、代表者の戸籍謄本(特に結婚にして苗字が変わっている人は念のために)を持っていくこと
になります。

3 資本金の払込

定款が認証されたら、資本金を払い込みます。この時点ではまだ会社名義の銀行口座が開設されていないので、発起人の銀行口座に『わざわざ』『設立時に株式を引き受ける人の名義で』振込みを行います入金ではないです、『振込み』です。1人で会社を作るときは、自分の口座に自分名義で振込むわけです。そして通帳がある場合は、口座番号や口座名義人が記載されている通帳の表紙と、支店名や支店番号、銀行印(最近はない場合もあります)などが記載されているその次のページ、振込みが確認できるページ(振込み以外の部分はマジックで消しても大丈夫です)を印刷しておきます。ネットバンクの場合は、銀行名、口座の名義人、資本金の振込金額がわかる部分を印刷し、通帳の写しの代わりとします。

4 すべての書類をもって法務局へ

全ての書類が完成したら、本店所在地を管轄する法務局へ行って、登記申請と印鑑登録を行います。法務局にも何かあった時のために、会社と代表者の実印、代表者の戸籍謄本を持って行った方が良いです。
ここでの私の失敗談ですが、法務局で書類を提出するとその場で確認されます。1枚必要のない紙が入っていたのですが、丁寧に全てホチキス留め&製本してしまっており、法務局の方がはがした上で受理してくれました…。その場でも書類をとじることができるので、最初から綴らず、のりとかホチキスとかをもっていった方が良かったかなと思いました。また、印鑑登録では間違えて代表印ではなく角印を登録してしまいました。気づいたのはしばらくたった後で…急いで登録印鑑を変更しました。
あと、会社設立日は書類を法務局が受理した日になるので、土日祝日は会社設立に日にはできません。郵送の場合も会社設立日は法務局が書類を受理した日になります。

5 商業登記簿

法人設立の日は、法務局が書類を受理した日とお伝えしました。そのため、商業登記簿が完成していなくても、会社として営業ができるようになります。とはいえ、商業登記簿がないと銀行口座も開設できず、また、契約するにも印鑑証明も登記簿もなく…という状況ですが。しかし、これで株式会社の設立は完了です。

商業登記簿が出来上がるまでにやっておくこと

法務局に書類が受理された後、商業登記簿が完成するまでには通常2週間前後かかります。当社の場合はコロナ禍だったので法務局員の出社も制限されており、商業登記簿完成までに1か月半程度かかると言われてしまいました…催促の電話を何回かして1か月弱で完成してもらいましたが。レアなケースです。
いずれにしても商業登記簿が完成するまでぼーっとしているわけにはいきません。やっておいた方が良いことを記載しておきます。

1 ホームページ作り

簡単で良いのでホームページを作った方が良いです。サーバーやドメイン、ホームページ作成ソフト等でお金がかかりますが、資本金から出すか、代表で立て替えるかで対処します。なぜ作った方が良いのかと言うと、会社設立時は何の実績もなく、どんな会社なのかという事を第三者に伝えるのが難しい状況です。特に銀行口座開設の時にホームページの有無を聞かれます。変な会社ではないか、変な人ではないか、そういう疑念を払しょくするためにホームページはあった方が良いです。

2 税務署、年金事務所、都道府県税事務所、市町村役場、労働基準監督署、ハローワーク向け書類の作成

商業登記簿が出来上がったら、これらのうち、必要なところへ法人設立の届出を行います。届出必要の可否も含め調査し、必要な届出については事前に書類を準備しておくことをお勧めします。商業登記簿が出来上がったら一気に届出を行う必要があるからです。

3 銀行口座開設に必要な資料を調査する

法人の銀行口座がないと入出金に困ります。なるべく早く口座開設を行いたいところですが、商業登記簿がないと口座開設してもらえません。そのため、商業登記簿ができあがるまでに、どの銀行なら口座なら開設しやすそうか、その必要書類は何なのか、を調査しておく必要があります。ネット銀行ではない場合、本店所在地に近い支店で口座開設することになります。また、助成金や補助金利用を考えている場合は、それらを取り扱っている金融機関で口座開設することをお勧めします。なお、口座開設には審査があり、落とされることも結構ありますので、複数の金融機関を検討することをお勧めしています。ちなみに当社はネット銀行で口座開設ができませんでした。当時はホームページもなく、『やっていることが分からない』という理由でした。

商業登記簿の完成

法務局が書類を受理した時に、商業登記簿が完成する予定日を教えてくれます。法務局から連絡は原則来ないので、完成予定日に自ら法務局へ行き、自ら自社の商業登記簿を請求する手続きを行います。同時に印鑑証明書も請求した方が良いでしょう。各々複数部請求しておいた方が良いのですが、結構高いうえ、商業登記簿や印鑑証明書の提出を相手(クライアントとか)から求められる場合、発行から3か月以内とか6か月以内という制限をつけられることが多いので無駄のないよう、事前に使う部数を把握しておいた方が良いです。

商業登記簿を入手したら、届出が必要な先に会社設立の届出等を行い、金融機関で口座開設を行い、個人の口座から法人の口座へ資金を移動させ、ようやく会社として普通に事業を行うことができるようになります。

ここまで終われば、株式会社の設立手続きは終了です。
もっとこんなことを聞きたい、とか、ご質問とかはこちらまでお願いします。

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