VC/CVC、ベンチャー投資増加方針へ

2021年1月7日に日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)からプレスリリースされていますが、VC/CVCが投資金額を増加させる傾向であることがわかりました。

2020年は新型コロナウィルスの影響もあり、VC/CVCは投資を控える傾向にありました。しかし2020年後半から徐々にベンチャー投資が増えてきなかな、という印象がありました。それを裏付けたのが、JVCAのプレスリリースです。

JVCAがVC及びCVC会員向けにアンケートを行ったところ、「投資方針は今まで通り」と回答したVC/CVCは57.0%だったそうです。他方、「投資を増やす方針」と回答したVC/CVCは29.6%、「投資を減らす/大幅に減らす」と回答したVC/CVCは3.5%でした。

このパーセントだといまいちピンとこないですが、回答VC/CVC社数が142社(n=142)なので、42社程度のVC/CVCが今後ベンチャー投資を増やすと回答しているという事になります。

これをもう少しブレイクダウンしたアンケート結果もプレスされています。VC会員のうち34.5%が「投資を増やす方針」と回答しています。n=84なので、29社程度のVCが投資を増やす方針であると言えます。一方CVC会員の方は、22.4%が「投資を増やす方針」と回答しています。n=58なので、13社程度のCVCが投資を増やす方針であると言えます。VCもCVCも「投資を減らす/大幅に減らす」と回答した社数は3.4%~3.6%程度なので、いずれにしてもベンチャー企業への投資が増えていく、と考えられ、ベンチャー企業にとっては調達環境が改善していく、と言えると思います。

ただし、気を付けなければならないのは、投資を受けられるベンチャー企業が増える、という事に直結しないという事です。1社のベンチャー企業に複数のVC/CVCが投資をするのが当たり前なので、将来が有望だと思われるベンチャー企業は調達環境がこれまで以上に良くなり、バリュエーションも高くなると思われ、調達金額も多額になってくるのではないか、と考えられます。他方、そのような評価にならないベンチャー企業の資金調達は引き続き厳しい環境に置かれるのではないか、と思います。「勝ち組に乗っておきたい」というVC/CVC側の思いがこのような状況を発生させると思っていますし、リーマンショック後の状況も上述した感じでした。まぁ、高いバリュエーションで資金調達をしてしまうと、次のラウンドやIPO時に困ることにはなるのですが…次回ラウンド等の前までに確り業績を上げていかなければならない、という事ですね。

またもう一つポイントがあります。「投資を増やす方針」と回答したVC会員は34.5%、同じくCVC会員は22.4%で、12.1%の差があるという点です。CVCはファンドであることが少なく、事業会社の別枠予算扱いであることが多いです。つまり、CVC会員の方がVC会員よりベンチャー投資に慎重となっており、その想定される理由としては、事業会社の業績はまだ回復していない、もしくは将来を見通しにくい、という状況ではないかと思われます。資金調達をお考えのベンチャー企業の方はVCを中心に交渉をした方がよさそう、という事が言えますね。