子供たちが失敗を恐れない環境を作る

日本の2022年の名目GDP(国内総生産)がもしかしたらドイツに抜かれて世界4位になるかもしれない、というニュースが最近ありました。
日本の2022年の名目GDPは555兆円と予想されているようです。

GDPとは簡単に言うと、一定期間内(一年間など)に国内で算出された付加価値の合計額です。付加価値を簡単に言うと、商品やサービスを販売したときの価値から、原価や流通コストなどを差し引いた価値のことです。そして、額が大きければ大きいほどその国の経済的な強さを示しますし、また、GDPの増減はその国の経済環境の良し悪しの判断にも使われます。※GDPには名目と実質があるのですが、その説明はここでは省きます。

さて、ここで日本の人口予測(将来推計人口)についても考えていきます。将来推計人口については、厚生労働省に所属する国立社会保障・人口問題研究所が発表しています。平成29年(2017年)に推計されたデータが現時点(2023年1月25日時点)で最新のものなので、それを基にします。

資料によると、出生中位・死亡中位と想定した場合、2022年の推計人口は124,310千人、そのうち生産年齢人口(15歳~64歳)は73,130千人とされています。その後の人口は減少し続け、2053年には1億人を切り、生産年齢人口も51,193千人、そして2065年は人口が88,077千人、生産年齢人口が45,291千人と推計しています。

では、そのような時代を生きていく筆者の子供はどのような労働環境になるのか、考えてみます。
筆者の子供は2015年生まれなので、2022年時点で7歳の小学校一年生です。そして前提として、日本の国力を名目GDPで考えるとし、2022年の予想名目GDP(555兆円)を維持し続けるためには、1人当たりどれくらいの付加価値を求められるかを計算してみることにします。

まず、2022年の状況ですが、生産年齢人口は73,130千人と推計されていますので、一人当たり7,589千円の付加価値が求められます。まぁ、現時点でまだ子供は働いていないので『子供には』関係ないですが、筆者たち『大人』が求められる付加価値になります。

以下では、子供が大学を卒業して社会人1年目の22歳時、中間管理職と思われる35歳時、役職定年が見えてきた50歳時をみてみます。

子供の
年齢
推計人口
(千人)
推計生産年齢
人口(千人)
一人当たり
付加価値(千円)
一人当たり付加価値
2022年比(倍)
20227歳124,31073,1307,589
203722歳113,53562,9058,8221.16
205035歳101,92352,75010,5211.39
206550歳88,07745,29112,2541.61
(「日本の将来推計人口(平成29年推計)」(国立社会保障・人口問題研究所)(https://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2017/pp_zenkoku2017.asp)を基に筆者作成)

2022年に予想されている名目GDP(555兆円)を2065年でも維持するためには、現在の1.6倍以上の付加価値が求められます。人口が減少していくので一人一人に課せられる責任は当然のことながら重くなっていきます。しかも売上ではなく付加価値なので、売上は2022年の1.6倍以上、かつ、コストもさらに減少させなければいけないという事が、私の子供が50歳時には求められます。

生産年齢人口をベースにしているので、労働力人口をベースにした場合は(労働者)一人当たりが求められる付加価値が変わってくると思うので、参考程度に見てもらえればと思いますが、いずれにしても、2022年にやっていることをそのままやって2065年まで現在の国力を維持できる、とはかなり考えにくい状況であることはわかります。何かを(もしくは全てを)大きく変えないと・・・、やばい、自分たちの子供に大きな負担をかけてしまう、ということです。

何かを少し変える、もしくは全てを変える。かなり難しいことだと思います。でもやらないと、しかも今からやらないと、自分たちの子供たちの負担がとても大きくなってしまいます。そう思うからこそ、子供たちには『失敗してもいいからチャレンジする』という事を常々伝えていきたいと思っていますし、自らもチャレンジし続けていきたいと思っています。