SPACを使ったグラブの上場について
東南アジアの配車サービス大手グラブ・ホールディングス(以下、「グラブ」)がSPAC(特別買収目的会社、Special Purpose Acquisition Company)を使って上場することになりました。正確に言えば上場しているSPACに買収される形で、グラブの株主は株式市場で保有株式を売却できるようになります。
このSPAC、日本ではあまり知られていません。SPC(Special Purpose Company)というとピンとくる方もいらっしゃると思いますが、そこに「Acquisition(買収)」が入ったと思えば理解も早いと思います。
詳細は割愛しますが、要は企業買収を目的としたSPCを先に株式市場に上場させ、2年以内に未上場企業を買収するというものです。未上場会社としては既に上場している企業(SPAC)に買収されるので、通常のIPOよりも短い時間で自社株式を公開できるというメリットがあります。
日本でも似たような手法があり、いわゆる「裏口上場」と呼ばれていました。時価総額の低い上場企業の株式を買い占め、その上場企業と利益の出ている未上場企業を合併させるというものです。今はTOBの規制や、このような場合の審査基準(合併等による実質的存続性喪失に係る上場廃止基準)も明確化され、このようなことがしにくくなっています。
今後日本でもSPACの上場が認められるのか、注視していく必要があるのではないかと思います。因みに2021年4月9日の朝日新聞の記事によると、東京証券取引所の山道社長は朝日新聞社等のインタビューに対し、「SPACの上場について真剣に検討するべきだと思っている」と回答したそうです。