新しい株式施設取引所構想について

今日の日経新聞に、SBIと三井住友FGが来春あたりに株の私設取引所を新設予定、との記事がありました。ブロックチェーンの技術向上もあり、安全にスピーディーに株式取引ができる、ようです。

自社株式を上場(公開)させる場合、証券会社や監査法人、取引所のチェック/審査を受ける必要があります。記事ではそこまで言及されていませんでしたが、多分既存の取引所の審査を受けた会社の株式が売買できるマーケット、という意味あいなのかと思います。

このようなマーケットは既にSBI証券もやっているので、なんで三井住友FGと組んで新しい株式施設取引所を作る、というプレスを出したのかな、と不思議に思っていました。と、その時過去の記事を思い出しました。「ソフトバンクのビジョン・ファンド2号が個人マネーを呼び込むため、野村證券と協議を行っているのではないか」という観測記事です。ご承知の通り、ソフトバンクとSBI証券とは深い関係にあります。私はこの記事を書いた際、野村證券の富裕層顧客向けにソフトバンクのファンド商品を売る目的ではないか、と書きました。今回それと同じことが起こっているかもしれません。

SBI証券の私設取引所をたまに見ていますが、そんなに活発に動いている印象ではないです。なので今回三井住友FGと組み、三井住友FGが抱える多くの顧客をこの新市場に参加させ活発に取引させることで、手数料を稼ぎたい、という事なのではないか、と思いました。要は、(法人/個人問わず)資産運用したい優良顧客を抱え込むことによってより手数料収入を増やしたい、そのような市場での株式売買を斡旋したい証券会社からも手数料を取りたい、という事なのかと。

これはこれでビジネスとしては正しいと思いますし、古くからある証券会社にはなかった発想だと思います。

他方、売買する顧客側としてみると、新しいメリットはあまりないような気がします。取引量が昼間と比べ少ないとはいえ、既に同じようなマーケットはありますし、夜も売買できるというメリットも同じですし。東証で売買された株価と、新市場とで売買された株価に理論上差はないですし(アービトラージ)。この新市場が今後どのような特徴を打ち出していくのか、とても興味があります。